トラサビ列伝 トライジールDC版&PS2版

ども、池田@200Xです! 今回のトラサビ列伝は、衝撃的な販促PRでトライアングル・サービスの名前を(良くも悪くも)一夜にして知らしめた2005年のドリームキャスト版「トライジール」(以下DC版)と、2009年現在、トライアングル・サービスの代表作品である「シューティング技能検定」が、初めて登場した2006年のプレイステーション2版「シューティング ラブ。~トライジール~」(以下PS2版)について紹介記事を書いてみました。 

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【トライジールDC版】
メディア:SEGAドリームキャスト用ソフト
 発売日:2005年4月7日
   定価 :7,140円(税込み) 
総販売元:トライアングル・サービス
  流通:SEGA

【DC版開発経緯】
元々、SEGA社製家庭用ハード「ドリームキャスト※以下DC」は業務用NAOMI基板との互換性があるため、DC移植は業務用「トライジール」の開発と並行して進められていた。しかし2004年9月、先に発売された業務用版のセールスが芳しくなく、トライアングル・サービスは業務用版の開発費を精算すると残金0円という状態に陥ってしまった。DC移植を中途半端な状態で放棄してしまうことを良しとしなかった藤野社長は「チャラでもいい、残りの開発費を借金してでもDC版を絶対発売してやる!!」と、一大決心をし、途中まで進めていた移植作業を再開した。

【自社販売とSEGA流通】
藤野社長は苦しい台所事情の中、在庫リスクを承知でDC版を社内初のコンシューマーソフト自社販売とすることに決め、ソフト流通元として、コアユーザー向けのゲームソフト、商材を多数取り扱うSEGA社を選択、パートナー契約を結んだ。業務用ゲームとは異なり、通常、流通側は販売元に対し、売り先である問屋さんや小売店舗向けアピール素材として宣伝広報活動計画を求める(理由はコンシューマーソフトは月間にリリースされるタイトルが半端な数ではないため、宣伝広報活動を何もしないということは、流通側が物理的に商品をアピールすることができず、結果「売る気が無い」と判断されるためである。また、その判断基準にはゲームの善し悪しはおろか、会社の規模や資金力も一切関係ない。物を売るという世界において「何もしない、何もできない弱者は喰われて終わり」の厳しい現実が待っているのだ。よって、多くのゲームメーカーは「開発」と「販売営業」を別部門化している)。その要求に対し藤野社長は、移植作業やマニュアルなどの付帯する印刷物製作の傍ら、最低限の費用(コスト)で最大限の効果を上げるための販促アピールをたった1人で実行していく。

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例1)小売店用販促物
・シューティング ラブ。(縦)B1ポスター製作配布

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例2)初回限定購入特典製作
・シューティング ラブ。バンダナ
・TRIZEAL BONUS TRACK(ミニサウンドトラックCD)

例3)賞品付きインターネットランキングの開催
・インターネットランキング用のオリジナルグッズ製作

なんと一部の販促グッズは制作費の支払いができるかどうかも解らない状態で発注したとのことだ。そして極めつけは2005年2月公式ページ上にUPされた、

「トライアングル・サービスがピンチです!」 

の販促一文だ。藤野社長は「どうせトライアングル・サービス最後の仕事となるから悔いの無い様、一切合切をブチまけたかった」と当時を語る。また、「自分は腐っても1人のクリエイター。普通の泣き落としは嫌だったので、誤解を承知でユーモアも文面に組み込んだ。他にも、もし会社が潰れても存在を覚えておいて欲しかったので、技術研究用に開発したWINDOWS版「XIISTAG」も無料配布することにした」とのことだ。流通のSEGA社も藤野社長の心意気にモチベートされるようにDC版の売り込みに全力を尽くす、そう、当時のSEGA社にとって、「トライジール」は「DCでリリースされる最後のシューティングゲーム」だったのだ(2005年当時のコンシューマーハード市場において、DCの存在は「風前の灯火」をとっくに通り越しているような状態だった)。

【ピンチから蘇生へ】
自虐的ともいえる販促アピール「トライアングル・サービスがピンチです!」の反響は実際凄まじかった、あまりにも衝撃的な内容がweb上より波及、期せずして「トライアングル・サービス」「シューティング ラブ。」の名は「シューティングゲームファン」だけでなく「ライト層」や「海外のゲームファン」にまで轟き、オフィスのアドレスには激励のメールが深夜まで分刻みで届き続けた。一方、SEGA社のオフィシャル通販サイト「SEGAダイレクト」にも怒涛のように予約注文が殺到、同サイトでの売上ランキング1位を記録。当初の生産予定だった5千本をあっという間に予約で売り切り、発売を前にして大幅な増産が決定してしまうほどであった。トライアングル・サービス自体もDC版発売を切っ掛けにピンチから一転、融資された開発費を完済して、なお余る程の蘇生に成功。また、藤野社長へ各メディアからの取材オファーの他、PS2版やモバイル版移植、攻略DVD製作のオファー(私のメールですねw)等、国内外から仕事まで舞い込んでくるようになった。また、このDC版の好調なセールスを受け、「トライジール」で最後となると思われていた「DC用シューティングゲーム」が、以後2年以上に渡りリリースされ続けることとなる。「トライアングル・サービスがピンチです!」は「DC市場」活性化にも大きな影響を及ぼしたのだ。

あれから4年・・・・藤野社長から、
皆さんへのメッセージはこちら。

 

【DC版の特徴他】
DC版は業務用互換ハードからの移植であるゆえ、移植度は完璧に近い。変更点といえば業務用に存在したバグ技「画面左下ボンバーによる全画面無敵」(縦画面モードにすると結局再現可能)の削除と、ステージ内分岐時の表記間違い(WARNNING→WARNING)の修正となる。DC版のオリジナル要素は、画面の表示設定を含む各種オプション項目追加と、業務用のボツステージを元に製作された「DC版オリジナルステージ」の追加、及びミニゲーム「リフティング×3」の追加となる。トライアングル・サービスの歴史に名を刻む「DC版トライジール」はGD-ROM生産終了ギリギリまでリピートが繰り返されていたため、2009年現在でも市場に(僅かではあるが)残った新品を購入可能だ。

 

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【シューティング ラブ。~トライジール~】
メディア:プレイステーション2用ソフト
 発売日:2006年4月20日
   定価 :7,140円(税込み) 
総販売元:データムポリスター
 
【PS2版開発経緯など】
PS2版はSEGA社の仲介により実現した「コットン100%」や「ルームメイトシリーズ」をリリースしたメーカー、「データムポリスター社(2009年現在活動休止中)」と、「トライアングル・サービス」の共同出資による開発プロジェクトであった。開発作業をオリジナル製作者である藤野社長が担当し、ソフトの販売をデータムポリスターが担当。開発作業は2005年4月よりスタートし、ハードメーカーであるSONYとの契約上の規定により、当作はタイトル名が「シューティング ラブ。~トライジール~」に変更となった。この名称を採用した理由は、先の「トライアングル・サービスがピンチです!」での話題波及により「トライジール」のキャッチコピーであった「シューティング ラブ。」がゲームタイトル以上に有名になったことが要因。

【開発中あれこれ】
当初、PS2版は2005年末~2006年初頭に発売する計画だったのだが、NAOMI基板とのハードスペックの違いや、トライアングル・サービスが開発する初のPS2ソフトということもあり、開発作業が予想よりも難航、結果ゲーム完成が大幅に遅延した。しかし、この開発遅延が、後のトライアングル・サービス代表作品「シューティング技能検定」誕生の切っ掛けとなる。

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【シューティング技能検定 開発経緯】
PS2版開発当時のコンシューマー市場は、2004年末に発売されたニンテンドーDSが右肩上がりに普及台数を伸ばし、後の「知育/検定系ソフト」登場で遂には市場をほぼ制圧した。この結果メーカー各社が「ライト層」に向けたゲーム開発を推進し、「知育検定系」「パズル系」「ミニゲーム集」といったソフトのリリースが相次ぎ、実際、ジャンルや内容を問わず、その手のソフトは飛ぶように売れ、市場はブームを超えた一種の「バブル状態」の様相を呈していた。そんな状況下、PS2の開発機材と毎日悪戦苦闘する藤野社長は、会社の経営者としてではなく「クリエイター」として、重度なストレスを感じていた・・・「くそっ、皆が新しいゲームをバリバリ開発してるってときに、なんで俺はトライジールの移植をやってるんだ?  しかもトライジール作るの3回目だし(泣)ああ、早く新作ゲームを作りたい・・・でも開発遅れてるし、頑張らないと・・・・ブツブツ」そんな、悶々としたある日、追い討ちをかけるように開発機材のハードディスクがぶっ飛ぶというアクシデントも重なり、一時期、藤野社長の精神は最悪な状態にあった・・・・しかし、藤野社長は突如として閃く「そうだ! PS2版のオマケとして、新作オリジナルゲームを開発しよう!! オマケゲームがあれば販売的にもアピール要素になるし、発売後に大会もできるような内容にすればナイスじゃん! 」。俄然モチベーションが回復した藤野社長は、当時流行していた「検定」と「シューティングゲーム」を掛け合わせる・・・といったテーマでアイデアをまとめた結果、史上初のシューティングゲームの腕前を「測定」する「シューティング技能検定」の企画が誕生した。※なおPS2版に収録されたバージョンは、開発の時間的猶予が少ないことより正式タイトルを「シューティング技能検定-試用版-」としている。

【シューティング技能検定-試用版-紹介】

「シューティング技能検定-試用版-」は、「撃つ」「避ける」などのシューティングゲームに必要不可欠なテーマを題材とした、6種類のミニゲームをこなし、終了後にプレイ内容から「判断力」「球避け」「連射力」「破壊力」「気合い」の各パラメータを測定、総合的なシューティングゲームの腕前「パイロット性能」を検定するゲームだ。※なお「気合い」のパラメータはゲーム中に、スタートボタンを押しっぱなしにすることで普通にプレイするよりも数値を上昇させることができる。これは「雷電DX」のオマージュだ。

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用意されたミニゲームは「赤(白)を撃て」「避けろ」「撃つべし!」「避けまくれ」「撃ちまくれ!」「ナイスボムれ!&ナイスボムれ!パートII」の6種類。どのゲームも単純明快、見たまんまのルールとなっており、誰でも簡単に楽しむことができる。なかでも藤野社長の自信作は「ナイスボムれ!」で、このゲームは「チキンレース」をシューティングゲーム内で表現するには?・・・という意図で開発された。また、各ミニゲームはゲーム中の行動によって、藤野社長流のユーモア溢れるテキスト文が表示される他、過去にリリースされた名作シューティングゲームのオマージュやパロディが散りばめられており、「ライト層」だけでなく古くからのゲームファンもニヤリとできる内容になっている。

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1990年代後半に入り「シューティングゲーム」というジャンルは、「ライト層」「一般層」を排除した「完全マニア向け」という意識が業界内の通説であり、「キャラクター推進」といったゲーム本質と異なる要素の追加はあったが、ジャンルのニッチ化に今もなお、歯止めがきかない状況だ。しかし、藤野社長が開発した「シューティング技能検定」は、誰もが思いつきそうな企画題材を用いつつ、同ジャンル製作他メーカーが全く手を出さなかった「間口を広く、誰でも気軽に楽しめる」というゲームの原点を追求した「ニッチ化完全否定」の意欲作といえる。エポックメイキングともいえる当作が後に「シューティング ラブ。2007」と「シューティング ラブ。200X」で更なる進化を遂げることとなる。

【PS2版販促活動など】
一度モチベーションが上がってしまえば藤野社長の行動は迅速かつ的確だ。2005年末には「トライジール」の移植作業を猛スピードで終了させ、2006年に入るや否や、追加収録される「シューティング技能検定」もマスターアップ納期までの約1ヵ月間で完成、発売日も4月20日に決定された。マスター提出後、藤野社長はDC版の時と同様、PS2版発売に向け、2006年当時の同ジャンルソフトの販促活動として、ほぼ前例の無い企画を含めた様々なアピールを実行していく。

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例1)シューティング ラブ。(横)B1ポスター製作配布

例2)シューティング ラブ。Tシャツ 製作販売

例3)各種インターネットランキング用商品(ガレージキット)製作

例4)クラブセガ新宿西口にて「春のシューティング祭 ナイスボム大会」の実施

その他、2006年1月22日、公式サイト上に「シューティング技能検定 あぶり出し」広告をUP。これはゲームの広告において最近よく用いられるティーザーサイト( 情報を意図的に隠し新商品への興味・関心を持ってもらう事を目的とする)的広告展開であり、シューティングゲームの宣伝としては他社に先駆けての実行であった。更には「ナイスDVD!」(トライアングル・サービスの業務用作品「XIISTAG」「トライジール」の攻略DVD※サントラCDとシューティング ラブ。読本を同梱)の同時発売決定や、SEGAダイレクトやデータムポリスター社通販サイトでの「PS2版」+「ナイスDVD!」同時購入特典(ステッカー、直筆サイン色紙)の製作、北海道のゲームショップ1983に藤野社長自らが出向いての「出稼ぎ営業イベント」(2006年5月実施)など、販促活動が次々と計画された。

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【PS2版の特徴/市場評価等】
2006年4月20日、PS2版はプロジェクト開始当初とは大きく異なる仕様である「トライジール+シューティング技能検定-試用版-」というオムニバス形式のソフトとして発売された。独自の特徴として「トライジール」部分に「DC版」購入者からの要望を取り入れた「シンクロ連射30」と連射武器チェンジボタン「DADADA SHOT」が追加され、他にはマニュアル記載の「ストーリー」が「DC版」の白紙から一転、とんでもない文字量のものに変更された(内容は無いに等しいが、ゲーム中の隠しコマンドがそれとなく書かれていたりする)。唯一、今回削除された項目として、「サウンドテスト」が挙げられ、これは同日に「ナイスDVD!(サントラCD同梱)」が発売されるための配慮となっている。気になる業務用からの移植度のほうは、業務用版をやり込んだプレイヤーからNAOMI基板とPS2との処理スピードの相違から(一部のステージの)プレイ感の違いを指摘されたものの、全体的には藤野社長の悪戦苦闘の甲斐もあり、非常に高いレベルとなっている(そもそも「トライジール」はそこまでパターン構築に緻密さを要求しないタイトルのため、普通にプレイする分には問題はなく、誤差の範囲と考えて良いだろう)。販売的には(担当したデータムポリスター社が2009年現在休業中のため、今となっては正確な数字を知ることができないが)藤野社長いわく「苦労のわりに、PS2版はDC版ほど売れなかったんじゃない?」とのことだ。しかし、発売後のPS2版販促イベントには、毎回、数多くのファンがおとずれ大盛況であり、トライアングル・サービスの認知度上昇を肌で感じることができた。DC版~PS2版の発売を機に(2005年4月~2006年4月までの1年間で)、トライアングル・サービスを取り巻く環境は、それ以前とは比べ物にならない程大きな変化を遂げたのだ。

【補足情報】

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・PS2版『トライジール』発売決定(電撃ON LINE)  

・TGS2005セガブースにてPS2版「トライジール」出展 

・『シューティング ラブ。 ~TRIZEAL~』本日発売!
攻略DVDもあわせてリリース

・春のシューティング祭レポート

・携帯モバイル版トライジール

・ゲームショップ1983でのイベントレポート

記事は以上となります。DC版は私と藤野社長が出会う切っ掛けのソフトであり、また、PS2版のほうは会社として販促に協力させて頂きました。それゆえ、私個人的に、今でも両移植に物凄く思いいれがあります。記事を書いてて、2006年に藤野社長と北海道でいくら丼や豚丼を食べた事とか、古本屋に長居しすぎて帰りの飛行機に乗り遅れたこととか、色んな思い出が甦りました。PS2版で産声を上げた「シューティング技能検定」は、業務用「シューティング ラブ。2007」を経て、2009年2月19日発売Xbox360「シューティング ラブ。200X」の目玉コンテンツとして(超絶パワーアップして)帰ってきます、是非ご期待下さい。次回トラサビ列伝は業務用「シューティング ラブ。2007」の紹介記事を書きます。こちらもお楽しみに!!

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